一生歩くためのモーニングルーティン|起きてから30分の5ステップ

「言っていることは分かるけれど、いつ、どの順番でやればいいの?」——このブログや動画に、そんな声をいただくことがあります。

朝の光を浴びましょう、姿勢を整えましょう、たんぱく質をとりましょう。バラバラに覚えていても、なかなか実行できませんよね。

そこでこの記事では、朝起きてからの30分に、やるべきことを全部並べます。新しい知識の話ではありません。順番の話です。同じことをしていても、やる順番を変えるだけで、安全性も効果も変わります。

https://youtu.be/d2YU6CQeFnE

朝は、一日でいちばん危ない時間帯

まず、なぜ「朝」なのか。ここからお話しさせてください。

じつは朝は、一日のなかでいちばん危ない時間帯です。心筋梗塞も、脳卒中も、そして高齢の方の転倒も、朝に集中して起きています。理由は3つあります。

① 血圧が起床直後に跳ね上がる

眠っているあいだ、血圧は下がっています。それが起床とともに一気に跳ね上がる。「早朝高血圧」「モーニングサージ」と呼ばれる現象で、血管にとっていちばん負担のかかる瞬間です。

② 寝ているあいだに水分が失われている

汗と呼気で、ひと晩におよそ500mL——ペットボトル1本分の水分が失われます。つまり朝は、血液が濃くなっている状態です。

③ 立った瞬間に血圧が落ちる

横になっていた状態から急に立ち上がると、血圧が一時的にガクッと下がることがあります。起立性低血圧です。朝の転倒の多くは、これが原因です。

血圧が跳ね上がり、血液が濃く、立つとふらつく。——これが朝の体です。だからこそ、順番が大事になります。

STEP1 すぐに起き上がらない

目が覚めたら、パッと起きる。健康的に思えますが、高齢期にはおすすめしません。血圧の急変とふらつきが起きるのが、まさにこの瞬間だからです。

やっていただきたいのは、布団の中で1分待つこと。たった1分です。

  • 手足の指をグーパー10回… 末端を動かすと、血液が心臓に戻りやすくなります
  • 足首を上下に10回… ふくらはぎのポンプが働いて、血圧の準備が整います

そして起き上がるとき、いきなり上半身を起こさないでください。順番は「横向きになる → 肘で体を支える → ゆっくり座る」。座ったらそこでも10秒ほど待ってから立ちます。

面倒に思えるかもしれませんが、この30秒が転倒による骨折を防ぎます。朝の骨折は、そのまま寝たきりの入口になることがある。ここは丁寧にいきましょう。

STEP2 コップ1杯の水を飲む

先ほどの500mLを思い出してください。血液が濃くなっているということは、固まりやすくなっているということでもあります。朝に脳梗塞や心筋梗塞が多い理由のひとつが、これです。

  • 常温の水を、ゆっくり… 冷たすぎる水は刺激が強すぎます。白湯でも構いません
  • 枕元に置いておく… 前の晩にコップを用意しておけば忘れません。「取りに行く」ひと手間があるだけで、人はやらなくなります

※心臓や腎臓の病気で水分制限を受けている方は、主治医の指示を優先してください。

STEP3 カーテンを開けて光を浴びる

朝、目に光が入ると体内時計がリセットされます。そして、その約14時間後に眠気を起こすホルモンが出るようセットされます。

朝6時に光を浴びれば、夜8時〜10時ごろに自然と眠くなる。つまり夜の眠りは、朝つくられているのです。

「夜眠れない」とお困りの方は夜に対策を考えがちですが、手を打つべきは朝です。窓から1分、外を見るだけで十分。曇りの日でも、屋外の明るさは室内の何倍もあります。

STEP4 壁立ちで背中を戻す

意外かもしれませんが、朝は背中が丸まっています。長時間同じ姿勢で寝ていたぶん、体が固まっているからです。そのまま一日を始めると、丸まった姿勢のまま過ごすことになります。

壁にかかと・お尻・背中をつけて立ち、後頭部が自然に壁につくかを確認してください。つかない方、無理に力を入れないとつかない方は、背中が丸くなり始めています。

そのまま30秒キープ。余裕があれば、その姿勢で胸を開いて深呼吸を3回。歯みがきの前など、毎朝必ずやることの直前にくっつけると習慣になります。

STEP5 口を起こして、朝食をとる

ご存じでしたか。朝起きた直後の口の中は、一日のなかでいちばん細菌が多いのです。寝ているあいだは唾液が減るので、細菌が増え放題になっています。

その状態で朝食を食べると、細菌を一緒に飲み込むことになります。誤嚥性肺炎のリスクを考えると避けたいところ。食べる前に、まず口をゆすいでください。

そして口の準備体操。「パ・タ・カ・ラ」を各5回、はっきり発音します。朝いちばんは口も舌もまだ寝ていて、この状態で食べるとむせやすいのです。30秒でいいので、口を起こしてから食べましょう。

朝食の目標はたんぱく質20g。1日3食のうち、いちばん抜けやすいのが朝食です。卵1個、納豆1パック、ヨーグルト——調理のいらないものを1品足すだけで届きます。

起きてから30分の流れ

  • 0分 布団の中で1分(手足グーパー・足首上下)
  • 1分 コップ1杯の水
  • 2分 カーテンを開けて光を1分
  • 3分 壁立ち30秒
  • 5分 口をゆすいで、パタカラ
  • 10分 朝食でたんぱく質

全部やっても、運動している時間はたった2分半です。

順番に意味があります

水 → 光 → 動く。この順にすると、血圧の急な変動を避けながら体を目覚めさせられます。いきなり体操から始めると、血液が濃く血圧が高い状態で体を動かすことになる。それは避けたいのです。

覚えていただきたいのは、「水・光・動く」。この3語だけです。

続けるコツ

「気が向いたらやる」では、朝は必ず流れていきます。朝は忙しいですし、眠いですから。

ですので、いつやるかを決めてしまってください。「歯みがきの前に壁立ち」「水を飲んでからカーテン」というように、すでにやっていることにくっつける。そうすれば、思い出さなくても続きます。

そして、5つ全部でなくて構いません。まずは「水を1杯」だけ。それが明日も続けば、十分です。

まとめ

①すぐに起き上がらない(布団の中で1分)②コップ1杯の水 ③カーテンを開けて光を浴びる ④壁立ちで背中を戻す(30秒)⑤口を起こして、朝食をとる。

新しいことは、ほとんどお話ししていません。順番に並べ直しただけです。でも、それだけで実行できるようになります。

朝の30分が、10年後の足をつくります。

やめるべき習慣が気になる方はすぐに老ける人の習慣5選、若さを保つ習慣はいつまでも若い人の習慣5選、歩く力そのものは一生歩ける人の特徴5選をどうぞ。体を動かしたい方には自宅でできる介護予防ドリル5選もあります。

参考資料

  • 日本高血圧学会(早朝高血圧・モーニングサージ)
  • 日本循環器学会(心血管イベントの日内変動)
  • 厚生労働省「健康のための水を飲もう」推進運動
  • 日本歯科医師会(起床時の口腔内細菌)

※この記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたもので、特定の疾患の診断・治療に代わるものではありません。心臓や腎臓の病気で水分制限を受けている方は主治医の指示を優先してください。めまいのある方、血圧のお薬を飲んでいる方は、起き上がり方について事前に主治医へご相談ください。

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