「暑いのはわかってる。でも、エアコンはもったいないし、のどは別に渇いていないし…」
実はこの感覚こそが、高齢者の熱中症が増える最大の原因です。
2024年、熱中症で救急搬送された方のうち、57.4%が65歳以上でした。しかも、亡くなった方の約9割が屋内での発症で、そのほとんどが「エアコンを使っていなかった」というデータがあります。
熱中症は、正しい知識と毎日の小さな習慣で確実に防ぐことができます。今すぐ始めたい「5つの習慣」をわかりやすく解説します。
なぜ高齢者は熱中症になりやすいのか
高齢になると、熱中症になりやすい理由がいくつかあります。
- のどの渇きを感じにくくなる
若い人は脱水が進むとのどが渇きます。高齢者はこの感覚が鈍くなり、気づかないうちに水分不足になってしまいます。 - 体の水分量が少ない
成人の体の水分量は体重の約60%ですが、高齢者では約50%まで低下します。もともとの「水分の貯え」が少ないため、少しの暑さでも脱水になりやすいのです。 - 体温調節機能が低下している
加齢によって汗をかく機能が弱まります。汗で体を冷やす力が落ちるため、体温が上がりやすくなります。 - 自分の暑さに気づきにくい
温度感覚も鈍くなるため、部屋が暑くても「涼しい」と感じてしまうことがあります。
今日から始める!熱中症を防ぐ5つの習慣
① 1日7回、必ず水分を補給する
厚生労働省の目安は、1日1.2L以上の水分補給です。
のどが渇いてから飲もうとすると、すでに脱水が始まっています。時間を決めて、こまめに飲むのがポイントです。
- 起床後すぐ(コップ1杯)
- 朝食時
- 午前10時
- 昼食時
- 午後3時
- 夕食時
- 就寝前
1回あたりコップ1杯(約200ml)を目安に。水やお茶はもちろん、ミネラルが補給できる経口補水液もおすすめです。
水分補給のくわしいコツは、こちらの記事も参考にしてください。
→ 高齢者の脱水は命にかかわる!1日7回の水分補給で防ぐ方法
② 室温28℃を超えたらエアコンをつける
「電気代がもったいない」「体が弱くなる」という理由でエアコンを使わない方がいますが、これは危険です。
自宅での熱中症死亡者の約9割がエアコンを使っていなかったというデータがあります(東京都監察医務院調べ)。
目安は室温28℃・湿度70%以下。温度計と湿度計を部屋に置き、数字で判断するようにしましょう。
夜間も要注意です。昼間の熱が壁や床に蓄積されるため、夜中でも室温は高いままのことがあります。暑かった日は寝室も冷房を使いましょう。
③ 外出は朝か夕方に済ませる
日差しが強く気温の高い午前10時〜午後3時の外出はなるべく避けましょう。どうしても外出が必要なときは:
- 日傘や帽子で直射日光を防ぐ
- 日陰を選んで歩く
- 首を冷やせる冷却グッズを活用する
- 短時間で済ませ、こまめに涼しい場所で休憩する
外出前後の水分補給も忘れずに行いましょう。
④ 食事でミネラルをしっかりとる
汗をかくと、水分と一緒に塩分(ナトリウム)やカリウムも失われます。水だけ飲んでいると、ミネラルが薄まり「低ナトリウム血症」という危険な状態になることも。
| 栄養素 | 食品例 |
|---|---|
| ナトリウム | みそ汁、梅干し、漬け物 |
| カリウム | バナナ、アボカド、納豆 |
| マグネシウム | 豆腐、ひじき、アーモンド |
食欲がない夏でも、みそ汁1杯は欠かさず飲むようにしましょう。
⑤ 体調変化を見逃さず、周囲と連絡をとる
一人暮らしの高齢者は特に注意が必要です。体調が悪くなっても助けを求められず、重症化するケースが多くあります。
▼ 熱中症の初期症状チェックリスト
- 顔が赤い・体が熱い
- 大量に汗をかく、または汗が出ない
- ふらつき・めまいがする
- 頭痛・吐き気がある
- 体がだるくて動けない
これらのサインが出たら、すぐに涼しい場所へ移動し、水分と塩分を補給しましょう。症状が改善しない、意識がおかしい場合はすぐに119番を。
家族や地域とのつながりも大切な予防策です。毎日連絡をとり合う習慣をつけましょう。
重症化予防に!経口補水液を常備しよう
熱中症の初期対応に役立つのが経口補水液です。スポーツドリンクより塩分が多く、体に素早く吸収される特徴があります。
大塚製薬の「OS-1(オーエスワン)」は、医療現場でも使われる信頼性の高い製品です。暑くなる前に、自宅に1ケース常備しておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 水分補給は水とお茶、どちらがいいですか?
どちらでも構いません。ただし、コーヒーや緑茶などカフェインが多い飲み物は利尿作用があるため、飲みすぎに注意。水、麦茶、ほうじ茶などが特におすすめです。
Q2. エアコンをつけると体が弱くなりませんか?
室温28℃以下を保つ程度の使用で体が弱くなることはありません。むしろ熱中症で入院すると、その後の体力低下(サルコペニア)につながるリスクがあります。安全のためにも積極的に使いましょう。
Q3. 夜中に目が覚めて水を飲んでもいいですか?
はい、むしろ積極的に飲んでください。夜間は寝ている間にも汗をかき、脱水が進みます。枕元に水を置いておくのがおすすめです。
Q4. 涼しい日でも熱中症になりますか?
なります。湿度が高い日は体温が下がりにくく、気温が低くても熱中症になる場合があります。「涼しいから大丈夫」と思わず、水分補給は毎日続けましょう。
Q5. 熱中症と夏バテの違いは何ですか?
夏バテは慢性的な疲労感や食欲不振が主な症状です。熱中症は急激な体温上昇・めまい・意識障害などが特徴で、命にかかわることがあります。症状が急に出た場合は熱中症を疑い、早めに対処しましょう。
まとめ:今日から「夏の5つの習慣」を始めよう
高齢者の熱中症は、正しい対策で防ぐことができます。
- 1日7回・1.2L以上の水分補給
- 室温28℃を超えたらエアコンON
- 外出は涼しい時間帯(朝か夕方)に
- 食事でミネラル(ナトリウム・カリウム)を補給
- 体調変化に早めに気づき、周囲と連絡をとる
「まだ大丈夫」という油断が、命取りになることがあります。暑さが本格化する前の今から、少しずつ習慣を整えていきましょう。
参考文献
- 厚生労働省「熱中症関連情報」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/index.html
- 環境省「熱中症予防情報サイト」https://www.wbgt.env.go.jp/
- 総務省消防庁「令和6年(2024年)熱中症による救急搬送状況」
- 大塚製薬「熱中症になりやすい年齢」https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/heat-disorders/age/


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