夜中のトイレが危ない|一生歩くためのナイトルーティン5ステップ

一生歩くためのナイトルーティン 睡眠

夜、トイレに起きる回数が増えていませんか。じつは高齢期の転倒は、夜中にトイレへ向かう途中で多く起きています。暗くて、眠くて、急いでいる。条件がそろっているのです。この記事では、夕方から寝るまでの5つのステップを理学療法士がご紹介します。夜を整えることは、そのまま転倒予防になります。

夜の体に起きている3つのこと

① 夜中のトイレに、危険が集中する

日中なら何でもない段差で、夜はつまずきます。暗い、寝ぼけている、間に合わないから急ぐ。そして高齢期の転倒による骨折は、そのまま寝たきりの入口になることがあります。

② むくみが、夜中の尿に変わる

ここは意外に知られていません。日中、立ったり座ったりしていると、重力で水分が足にたまります。それが横になったとたん体の中心に戻り、腎臓へ運ばれ、尿に変わります。

つまり、夕方に足がむくんでいる人ほど、夜中にトイレへ行く回数が増えるのです。夜中のトイレが増えれば、それだけ転ぶ機会が増えます。むくみは、転倒の話なのです。

③ 眠っているあいだに、体は修復されている

これは良い話です。眠っているあいだ、体は筋肉を作り直し、脳にたまった老廃物を片づけています。昼間の運動が体になるのは、夜のあいだです。回復と、朝までの安全。これが夜の仕事です。

一生歩くためのナイトルーティン5ステップ

STEP1 夕方に、足を上げる(15分)

クッションや座布団を重ねて、足を心臓より高くして15分休みます。足にたまった水分が寝る前のうちに体へ戻るので、就寝後に戻ってくるぶんが減り、夜中にトイレで起きる回数が減ります。

夕食の前、テレビを見ている時間がおすすめです。新しく時間をつくる必要はありません。余裕があれば、ふくらはぎを下から上へやさしくさすってください。強く揉む必要はありません。

※心臓や腎臓の病気がある方は、急に足を上げると心臓に戻る血液が増えて負担になることがあります。主治医に確認してから始めてください。

STEP2 お酒は、寝る2時間前まで

寝酒で寝つきが良くなるのは事実です。問題はそのあと。アルコールが分解される過程で眠りが浅くなり、さらに利尿作用が働きます。

つまり寝酒は、夜中に目を覚まさせてトイレに行かせる方向に働きます。STEP1でせっかく減らした夜中のトイレを、ここで増やしてしまうわけです。

やめる必要はありません。時間をずらすだけ。寝る2時間前には切り上げてください。それと、お酒を水分に数えないこと。飲んだぶん以上に出ていきます。

STEP3 お風呂は、就寝90分前(40度・15分)

人は体の内側の温度が下がるときに眠くなります。入浴でいったん上がった体温が下がっていく90分後あたりが、いちばん眠りに入りやすいタイミングです。湯温は40度くらいで15分ほど。熱すぎるお湯は交感神経を刺激して、かえって目が冴えます。

ここは必ずお伝えしておきます。冬場の入浴中の事故は、高齢の方に集中しています。 暖かい居間から寒い脱衣所へ行き、熱いお湯に入る。この急な温度差が血圧を大きく揺さぶります(ヒートショック)。

対策はシンプルです。脱衣所と浴室を、先に温めておくこと。脱衣所に小さな暖房を置く、湯船のふたを開けておく、シャワーで浴室を温める。どれでも構いません。あわせて入浴の前後にコップ1杯の水を。

STEP4 布団の中で、1分ほぐす

起き上がる必要はありません。布団に入ってから1分だけ。

  • 足首をゆっくり10回まわす……縮んでいたふくらはぎがゆるみ、夜中に足がつるのを防ぎます
  • ひざを抱えて腰をゆるめる……両ひざを胸へ引き寄せ、ゆっくり呼吸します
  • 息を吐く時間を長くする……4つ数えて吸い、8つ数えて吐く。体が休むほうへ切り替わります

激しいストレッチは、かえって目が覚めてしまいます。夜は、ゆるめるだけでいいのです。

STEP5 足元を、照らしておく

ここまでは体の話でしたが、最後は家の話。今夜すぐにできることです。

  • 足元にセンサーライトを置く……天井の照明はまぶしく、スイッチまで歩くこと自体が危険。人が通ると光る足元のライトを、寝室からトイレまでの通り道に1〜2個
  • スリッパをやめる……かかとが固定されないスリッパは転倒のもと。かかとを包む室内履きか、すべり止め付きの靴下に
  • 通り道に物を置かない……新聞、雑誌、延長コード、小さなマット。昼間なら見えるものが、夜は見えません

覚えるのは「抜く・温める・照らす」の3語

むくみを抜く。体を温める。足元を照らす。この3語だけ覚えておけば、順番は自然と思い出せます。22時に寝る方なら、こんな流れです。

  • 17時……足を上げる
  • 19時……夕食。お酒はここまで
  • 20時……お風呂
  • 21時……照明を少し落とす
  • 21時30分……布団の中で1分ほぐす
  • 22時……就寝

時刻は目安です。ご自分の就寝時刻から逆算してください。

まとめ

今日いちばんお伝えしたかったのは、夜を整えることは、そのまま転倒予防になるということです。

「よく眠れました」で終わる話ではありません。夜中に起きる回数が減れば、転ぶ機会が減る。転ばなければ骨折しない。骨折しなければ、歩き続けられる。 全部つながっています。

5つ全部でなくて構いません。まずは「夕方に足を上げる」だけ。いちばん効果を実感しやすいステップです。

※ご注意
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。心臓や腎臓の病気がある方は、足を上げる姿勢について事前に主治医へご相談ください。夜間の排尿回数が極端に多い場合は、別の病気が隠れていることがあります。一度医療機関を受診してください。

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寝室そのものを整えるコツは高齢者の睡眠環境の整え方でまとめています。また、この記事の対になる朝の話は一生歩くためのモーニングルーティンをご覧ください。

じつは、夜眠れない原因は朝にあります。 朝に光を浴びた約14時間後に眠気が来るようセットされるからです。朝と夜は、つながっています。

出典:日本排尿機能学会「夜間頻尿診療ガイドライン」/厚生労働省 e-ヘルスネット(睡眠と入浴/アルコールと睡眠)/消費者庁(高齢者の入浴中の事故)/東京消防庁(住宅内での高齢者の事故)

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