介護施設の転倒予防研修で伝えたい5つのポイント|理学療法士が解説

介護施設の転倒予防研修で伝えたい5つのポイント|理学療法士が解説 家の環境整備

こんにちは、ふくろう先生です。
理学療法士として、転倒予防にたずさわっています。

介護施設では、事故防止の研修を年2回以上行うことが求められています。
(介護保険施設の場合。くわしくは自治体の指導をご確認ください)

「毎回、何を話せばいいか迷う」
「資料づくりに時間がかかる」

そんな声をよく聞きます。

この記事では、転倒予防の研修で必ず伝えたいポイントを5つにしぼって紹介します。
研修の内容を考えるときの参考にしてください。

ポイント1:転倒の原因は「2種類」ある

まず伝えたいのは、転倒の原因の考え方です。

本人の要因 環境の要因
筋力・バランスの低下 床のぬれ・段差
薬の影響 暗い照明
トイレの切迫感 合わない履物
過去の転倒歴 ベッドの高さ

転倒は、この2つが重なって起こります。

「足腰が弱いから仕方ない」で終わらせないことが大切です。
環境を整えるだけで、防げる転倒もたくさんあります。

研修のコツ
職員に「最近の転倒を、本人と環境の両方から見直してみよう」と問いかけると、話し合いが深まります。

ポイント2:危ないのは「夜間のトイレ」

施設の転倒は、夜間から早朝のトイレに関係するものが多くあります。

特に危ないのは、この3つが重なったときです。

  • ひとりで
  • 急いで
  • トイレへ向かう

排泄のパターン(時間・回数)を知って、先回りして声をかけましょう。
「我慢できずに急ぐ」状況を減らすことが、大きな予防になります。

ポイント3:理学療法士が見る「ベッドまわり」と「履物」

ここは、リハビリ職ならではの視点です。

ベッドの高さ

ベッドに座ったとき、足の裏がしっかり床につき、ひざが約90度になる高さが目安です。

  • 高すぎる → 足が床につかず、不安定
  • 低すぎる → 立ち上がるのに大きな力が必要

履物

スリッパは、脱げたり、つまずいたりする原因になりやすいです。
かかとまで覆われた、足に合う靴をすすめましょう。

現場ですぐできること
その方が「起きてから歩き出すまで」を、一度だけ見てみてください。危ない場所が見えてきます。

つまずきやすい人の特徴は、こちらの記事でもくわしく解説しています。
→ つまずきやすい人の3つの特徴

ポイント4:転倒を見つけたら「すぐに起こさない」

意外と知られていないのが、発見したときの対応です。

  1. その場ですぐに起こさない(骨折していると悪化するおそれ)
  2. 声をかけて、応援を呼ぶ
  3. 意識・痛み・出血・手足の変形を確認する
  4. 看護職へ報告する
  5. 頭を打ったときは、その後も様子を観察する

頭を打った場合は、時間がたってから症状が出ることがあります。
観察の方法は、施設のマニュアルと看護職の指示に従ってください。

ポイント5:ヒヤリハットは「責めるため」ではない

1件の重大事故の裏には、300件の「ヒヤリ・ハッ」があると言われます。
(ハインリッヒの法則)

ヒヤリハットは、事故を防ぐための大切なヒントです。

ただし、報告した人が責められる職場では、報告が集まりません。
目的は「誰かを責めること」ではなく「仕組みを変えること」。
このことを、研修でくり返し伝えましょう。

研修をうまく進める3つのコツ

  • 事例で考える:実際にありそうな場面を使い、グループで話し合う
  • テストで確認する:最後に簡単な○×問題で理解度を確かめる
  • 記録を残す:日時・内容・参加者を記録しておく(運営指導で確認されます)

まとめ

転倒予防の研修で伝えたいポイントは、次の5つです。

  1. 転倒の原因は「本人」と「環境」の2種類
  2. 夜間のトイレが特に危ない
  3. ベッドの高さと履物を見直す
  4. 転倒を見つけたら、すぐに起こさない
  5. ヒヤリハットは責めるためではない

ご利用者が、最期まで自分の足で暮らし続けられるように。
チームで転倒予防に取り組んでいきましょう。

ご家族向けの転倒予防の基本は、こちらをご覧ください。
→ 転倒予防の基本
→ バランス力を鍛える3つの習慣

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