こんにちは、ふくろう先生です。
「ヒヤリハットの報告が、なかなか集まらない」
「研修で、どんな事例を使えばいいか分からない」
介護施設の研修担当の方から、よく聞くお悩みです。
この記事では、ヒヤリハット研修でそのまま使える事例5つと、報告書の書き方を紹介します。
ヒヤリハットとは
ヒヤリハットとは、事故にはならなかったけれど、「ヒヤリ」「ハッ」とした出来事のことです。
1件の重大事故の裏には、
- 29件の軽い事故
- 300件のヒヤリハット
があると言われています(ハインリッヒの法則)。
つまり、ヒヤリハットを減らすことが、大きな事故を防ぐ近道です。
研修で最初に伝えたいこと
ヒヤリハット研修で、一番大切なメッセージはこれです。
報告の目的は「誰かを責めること」ではなく「仕組みを変えること」
報告した人が注意される職場では、報告は集まりません。
「報告してくれてありがとう」と言える雰囲気づくりから始めましょう。
研修で使える事例5つ(転倒・転落編)
グループで「なぜ起きたか」「どうすれば防げるか」を話し合ってみてください。
事例1:夜間のトイレ
午前3時、Aさんがひとりでトイレに向かい、ふらついて壁に手をついた。転倒はしなかった。スリッパを履いていた。
考えるヒント:時間帯、履物、排泄のパターン
事例2:移乗のとき
車いすからベッドへ移るとき、車いすが少し動いた。ブレーキがかかっていなかった。
考えるヒント:移乗前の確認の手順、職員の忙しさ
事例3:食堂での立ち上がり
食後、Bさんが椅子から立ち上がろうとして、後ろによろけた。近くの職員が支えた。
考えるヒント:椅子の高さ、立ち上がる前の声かけ、食後の血圧
事例4:薬が変わった直後
睡眠薬が始まった翌朝、Cさんがいつもより足元がおぼつかない様子だった。
考えるヒント:薬の変化の共有、看護職への報告
事例5:床のぬれ
入浴後の廊下で、床がぬれているのに気づいた。直前にDさんが歩いていた。
考えるヒント:掃除のタイミング、目印、すべりにくい履物
研修のコツ
自分の施設で実際にあった出来事を、名前を伏せて事例にすると、話し合いが盛り上がります。
つまずきやすい人の体の特徴は、こちらで解説しています。
→ つまずきやすい人の3つの特徴
ヒヤリハット報告書の書き方
基本は「5W1H」
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| いつ | 日付・時刻 |
| どこで | 場所(居室・トイレ・廊下など) |
| 誰が | ご利用者・関わった職員 |
| 何をしていて | そのときの動作・場面 |
| どうなったか | ヒヤリとした内容 |
| どう対応したか | その場で行ったこと |
「事実」と「推測」を分ける
一番大切なのは、見たことと、考えたことを分けて書くことです。
- ✕「トイレに行こうとして転びそうになった」
- ○「トイレの前でふらついていた。本人は『トイレに行こうとした』と話した」
ご本人の言葉は、かぎかっこ「」で書きましょう。
原因と対策は「2つの方向」から
| 本人の要因 | 環境の要因 |
|---|---|
| 筋力・バランス、薬、排泄の切迫感 | 床、照明、履物、ベッドの高さ |
どちらか片方だけでなく、両方から考えるのがコツです。
報告を集めるための工夫
- 書きやすい用紙にする(チェック式+短い記入欄)
- 報告してくれた職員にお礼を伝える
- 集まった報告を月1回ふり返る(多い場所・時間帯を見つける)
- 対策を決めたら、結果をチームに伝える
「報告したら、職場が良くなった」と感じられると、報告は自然に増えていきます。
まとめ
- ヒヤリハットは、大きな事故を防ぐためのヒント
- 報告の目的は「責めること」ではなく「仕組みを変えること」
- 研修では、身近な事例で話し合う
- 報告書は「5W1H」で、事実と推測を分けて書く
研修の全体の組み立て方は、こちらの記事をご覧ください。
→ 介護施設の転倒予防研修で伝えたい5つのポイント
→ 事故防止研修の感想文の書き方と例文
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