「最近、ものが覚えられない」「同じことを何度も聞いてしまう」——そんな変化が気になりはじめた方や、ご家族の認知症が心配な方は多いのではないでしょうか。
実は、認知症は「なってから対処する病気」ではありません。
毎日の食事や生活習慣を少し変えるだけで、発症リスクを下げることができると、国内外の研究で示されています。
この記事では、今日からすぐに実践できる5つの認知症予防習慣を、エビデンスとともにわかりやすくご紹介します。
認知症を予防する5つの習慣(まとめ)
- 青魚を週2回以上食べる(DHA・EPA摂取)
- 食品の種類を増やす(食の多様性)
- 有酸素運動+脳トレを組み合わせる(コグニサイズ)
- 人と話す・社会参加する
- 質のよい睡眠をとる
認知症は予防できる?最新の研究が示すこと
世界保健機関(WHO)は2019年に、認知症の予防・進行遅延のためのガイドラインを発表しました。
身体活動・バランスの良い食事・禁煙・認知的活動など、生活習慣の改善が認知症リスクを下げると明記されています。
国立長寿医療研究センターの研究によると、食品摂取の多様性が最も高いグループでは、最も低いグループに比べて認知機能低下のリスクが44%低下していたことが報告されています。
完全に防ぐことはできませんが、リスクを下げることは十分可能です。大切なのは「今日から少しずつ」続けることです。
習慣①青魚を週2回以上食べる(DHA・EPA)
青魚(サバ・サンマ・イワシ・アジなど)に豊富に含まれるDHA・EPAは、脳の神経細胞を守る働きをもちます。
国立長寿医療研究センターの研究では、DHA・EPAの摂取量が多いほど、認知機能に関わる脳の体積が維持されやすいことが示されました。また、週2皿以上の魚を食べることで、アルツハイマー型認知症の発症リスクが約30%低下するという報告もあります。
おすすめの食べ方
- 週2〜3回、焼き魚・煮魚・缶詰で手軽に摂取する
- サバ缶・イワシ缶は低コストで使いやすい
- 魚が苦手な方はDHAサプリを活用する手も
魚をあまり食べられない場合は、DHAサプリメントの活用も選択肢のひとつです。
習慣②食品の種類を毎日意識する(食の多様性)
認知症予防には、特定の食べ物だけでなく食の多様性が重要です。豆類・大豆製品、野菜・海藻類、乳製品、魚介類、きのこ類、緑茶——これらをバランスよく組み合わせた「日本型の食事」が認知症予防に効果的とされています。
| 食品グループ | 目標の目安 |
|---|---|
| 野菜・海藻 | 毎食1品以上 |
| 大豆・豆腐 | 1日1品以上 |
| 乳製品 | 1日1杯程度 |
| 魚介類 | 週2〜3回 |
| きのこ・海藻 | 毎日少量でも |
「毎日同じものしか食べない」という方は、まず週に1〜2品、食卓に新しい食材を加えることから始めてみましょう。
習慣③有酸素運動+脳トレを組み合わせる(コグニサイズ)
国立長寿医療研究センターが開発した「コグニサイズ」は、体の運動と認知課題を同時に行うトレーニングです。
コグニサイズの例
- ウォーキングしながら「3の倍数のときだけ拍手する」
- 足踏みしながら「前日の食事を思い出す」
- 散歩しながら「見えたものを口に出して言う」
体を動かしながら頭も使うことで、脳への血流が増え、神経細胞のつながりが強化されます。1日20〜30分の有酸素運動(ウォーキング・水中歩行など)を週3回以上続けることが推奨されています。
習慣④人と話す・社会参加する
孤立は認知症リスクを高める重要な要因のひとつです。友人・家族との会話、地域サークル、ボランティア活動など、人との交流が脳を活性化します。
会話をするだけでも、言葉を選んだり相手の表情を読んだりと、脳のさまざまな部位が働きます。週に1〜2回でも、人と直接話す機会をつくることが大切です。
※「笑いと友だちが最高の薬!高齢者の孤立を防ぐ社会参加5つの方法」もあわせてご覧ください。
習慣⑤質のよい睡眠をとる
睡眠中、脳は「老廃物(アミロイドβなど)を洗い流す」働きをします。慢性的な睡眠不足や睡眠の質の低下は、認知症リスクを高めることが知られています。
睡眠の質を上げる4つのポイント
- 就寝・起床時間を毎日一定にする
- 寝室を暗く・静かに保つ
- 就寝1〜2時間前はスマートフォンを控える
- 昼寝は15〜30分以内にとどめる
※睡眠のお悩みがある方は「夜中に何度も目が覚める…高齢者の中途覚醒を防ぐ5つの対策」もご参照ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 認知症予防に「特効食品」はありますか?
特定の食品だけで予防できる「特効食品」はありません。大切なのは食品の多様性とバランスです。青魚・豆類・野菜・乳製品をまんべんなく摂ることを心がけましょう。
Q2. DHAサプリは毎日飲んだほうがいいですか?
食事から魚を十分に摂れない場合の補助として有効です。ただし薬ではなく食品の補完として位置づけ、継続することが大切です。
Q3. 脳トレゲームは効果がありますか?
継続的な脳トレは認知機能維持に有効とされています。ただし、ゲームだけに頼らず、有酸素運動・社会参加との組み合わせが効果的です。
Q4. 何歳から始めれば効果がありますか?
予防は早いほど効果的ですが、70代・80代から始めても遅くありません。今日から始めることが一番大切です。
まとめ:今日からできる認知症予防の第一歩
認知症予防のポイントをまとめると、次の5つです。
- 青魚(DHA・EPA)を週2回以上食べる
- 食品の多様性を意識した食事をする
- 有酸素運動+脳トレのコグニサイズを週3回
- 人と話す・社会参加する機会をつくる
- 質のよい睡眠を確保する
どれかひとつから始めるだけでも、脳への良い影響が期待できます。特別な道具は必要ありません。今日の夕食から、まず青魚を選んでみましょう。
参考文献
- 国立長寿医療研究センター「脳体積維持にDHA・EPA・ARAの摂取が関連」(2022年)
- WHO「認知症予防、診断、ケアのためのガイドライン」(2019年)
- 健康長寿ネット「認知症予防のための食事とは」

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