「夜中に何度も目が覚める」「朝早く起きすぎてしまう」——こんな悩み、ありませんか?
実は、60歳以上の約3人に1人が何らかの睡眠トラブルを抱えています。「年だから仕方ない」と思いがちですが、睡眠の質の低下は、転倒・認知症・うつ病のリスクを高めることがわかっています。
でも、安心してください。薬に頼らなくても、毎日のちょっとした工夫で睡眠は改善できます。この記事では、科学的な根拠にもとづいた「ぐっすり眠るための5つの習慣」をご紹介します。
【結論】睡眠改善のカギは「日中の過ごし方」にある
高齢者の不眠の多くは、加齢によるメラトニン(睡眠ホルモン)の減少と、日中の活動量低下が原因です。
つまり、夜だけ頑張っても効果はうすい。朝から夕方の過ごし方を変えることが、ぐっすり眠れる一番の近道です。
習慣①:午前中に15〜30分、太陽の光を浴びる
朝の光は、体内時計をリセットする最強のスイッチです。
- 起きたらカーテンを開ける
- 朝食後に近所を10〜15分さんぽする
- ベランダや窓辺で新聞を読む
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド(2023)」でも、高齢者はとくに日光を浴びる時間を意識的にかくほすることがすすめられています。メラトニンの分泌が低下している高齢者ほど、光のしげきが重要です。
習慣②:日中に30分以上、体を動かす
研究によると、1日30分以上の歩行習慣がある人は、入眠障害や中途覚醒のわりあいが低いことがわかっています。
おすすめの運動はこちらです。
| 運動 | 目安時間 | ポイント |
|---|---|---|
| ウォーキング | 30分/日 | 朝または午前中がベスト |
| ラジオ体操 | 10分/日 | 全身の血流がよくなる |
| ストレッチ | 10分/夕方 | 寝る2時間前にかるく行う |
注意:就寝直前のはげしい運動は逆効果です。寝る2時間前までに終わらせましょう。
運動習慣のない方は、まず「朝のさんぽ10分」から始めてみてください。転倒予防にもつながります。
▶ 関連記事:転倒は防げる!高齢者が自宅でできる転倒予防運動5選
習慣③:昼寝は「30分以内」を守る
昼寝そのものは悪くありません。むしろ、30分以内の昼寝はアルツハイマー型認知症のリスクを5分の1にへらすという報告もあります。
ただし、1時間以上の昼寝は逆にリスクを2倍に高めることも指摘されています。
- 昼寝は午後1時〜3時の間に
- 30分以内で切り上げる
- アラームをセットしておく
- ソファやいすで「うたた寝」ていどが理想
習慣④:「眠くなってから」ふとんに入る
「早く寝なきゃ」と思って早めにふとんに入ると、かえって目がさえてしまいます。
睡眠の専門家は、「眠気を感じてから寝床につく」ことをすすめています。ふとんの中で30分以上眠れないときは、いちど起きてリラックスしましょう。
- 寝室は「眠るための場所」にする
- テレビやスマホは寝室に持ちこまない
- 眠れないときは無理せずリビングへ
眠りがあさいと感じる方は、あえて就寝時間を少しおそくすると、睡眠の質が上がることがあります。
習慣⑤:夕食でトリプトファンをとる
睡眠ホルモン「メラトニン」のもとになるのが、必須アミノ酸のトリプトファンです。
トリプトファンを多くふくむ食品はこちらです。
- 牛乳・ヨーグルト(寝る前のホットミルクは◎)
- バナナ
- 大豆製品(納豆・豆腐)
- 魚類(かつお・まぐろ)
- 卵
また、睡眠アミノ酸として注目されているグリシンは、深部体温を下げて入眠をスムーズにするはたらきがあります。食事だけで十分にとるのがむずかしい場合は、サプリメントでおぎなうのもひとつの方法です。
▶ 味の素グリナ(グリシン配合・機能性表示食品)をAmazonで見る
▶ 関連記事:高齢者の便秘は放置すると危険!今日から始められる腸活習慣5選
よくある質問(FAQ)
Q. 高齢者のてきせつな睡眠時間は何時間ですか?
A. 厚生労働省によると、6〜8時間が目安です。ただし個人差があり、日中に眠気がなければ十分です。無理に8時間寝ようとする必要はありません。
Q. 睡眠薬を飲んでもいいですか?
A. 生活習慣の改善で効果がない場合は、医師にそうだんしましょう。高齢者は転倒や認知機能への影響が出やすいため、自己判断での服用はさけてください。
Q. 夜中にトイレで何度も起きてしまいます。どうしたらいいですか?
A. 夕方以降の水分をひかえめにすることが基本です。ただし、脱水にならないよう日中にしっかり水分をとりましょう。改善しない場合はひ尿器科へ。
Q. 寝る前のお酒は睡眠にいいですか?
A. 逆効果です。アルコールは寝つきをよくしますが、睡眠の後半で中途覚醒がふえ、睡眠の質がわるくなります。
まとめ:ぐっすり眠るための5つの習慣
- 午前中に太陽の光を15〜30分浴びる
- 日中に30分以上の運動をする
- 昼寝は30分以内におさめる
- 眠くなってからふとんに入る
- トリプトファン・グリシンを意識してとる
どれも今日から始められるものばかりです。まずは「朝のさんぽ」と「昼寝を30分以内にする」の2つから試してみてください。
睡眠のなやみが2週間以上つづく場合は、かかりつけ医や睡眠外来へのそうだんをおすすめします。
参考文献
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」
- 日本老年医学会「高齢者の不眠」(Geriatrics 49: 267)
- 国立保健医療科学院「保健医療科学」Vol.64 No.1, 2015
- 日本睡眠学会「睡眠障害の基礎知識」
- 健康長寿ネット「高齢者の睡眠」(長寿科学振興財団)

コメント