「最近、食事中によくむせる」「飲み込みにくい感じがある」——そんな症状、放っておくと誤嚥性肺炎につながるかもしれません。
実は、70歳以上の高齢者の肺炎のうち7割以上が誤嚥性肺炎です(厚生労働省研究班)。誤嚥性肺炎は命にかかわることもある深刻な病気です。
でも安心してください。毎日の口腔ケアで予防できることがわかっています。この記事では、今日からすぐ実践できる口腔ケア5選をお伝えします。
誤嚥性肺炎とは?なぜ高齢者に多いのか
誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液が誤って気管・肺に入ることで起きる肺炎です。
加齢とともに飲み込む力(嚥下機能)が弱まります。すると、少しの食べ物や唾液でも気管に流れ込みやすくなります。
さらに怖いのが「不顕性誤嚥」。眠っている間に唾液が気管に入っても、むせないことがあります。口の中の細菌が多いほど、肺炎のリスクは高まります。
だからこそ、口の中の細菌を減らす口腔ケアが非常に大切です。日本訪問歯科協会の報告によると、口腔ケアをしっかり行うと肺炎の発症率が約39%低下するというデータがあります。
誤嚥性肺炎を防ぐ口腔ケア5つの習慣
①毎食後の歯磨きを徹底する
歯磨きは1日3回、毎食後が基本です。食後20〜30分以内に磨くと、口の中の細菌が増えにくくなります。
とくに寝る前の歯磨きが最重要です。夜間は唾液の分泌が減り、細菌が増えやすい環境になります。2〜3分かけて丁寧に磨きましょう。
②電動歯ブラシで磨き残しを減らす
手の力が弱くなった高齢者には、電動歯ブラシがとても効果的です。振動数が多く、歯垢を効率よく除去できます。
Braun オーラルBのような定評ある製品は、握りやすく操作も簡単。関節痛がある方でも使いやすい設計です。
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③舌ブラシで「舌苔」を取り除く
舌の表面につく白や黄色っぽい汚れ(舌苔)は、細菌のかたまりです。歯磨きだけでは取り除けません。
舌ブラシを使い、1日1回(起床直後がおすすめ)、奥から手前に向かって軽くなでるように取り除きます。強くこすりすぎないのがコツです。
④「あいうべ体操」で飲み込む力を鍛える
あいうべ体操は、口まわりの筋肉を鍛えて嚥下機能を高める体操です。1日30回(朝・昼・晩に10回ずつ)が目安です。
- 「あ〜」と口を大きく開ける
- 「い〜」と口を横に引く
- 「う〜」と口を前に突き出す
- 「べ〜」と舌を下に出す
テレビを見ながらでもできる、手軽な体操です。毎日続けることで効果が出てきます。
⑤3〜6か月に一度、歯科を定期受診する
歯科では、磨き残しチェック・歯石除去・義歯の調整など、自分ではできないケアをしてもらえます。
「痛くなったら行く」ではなく、定期的に受診することが誤嚥性肺炎予防の近道です。かかりつけ歯科医を決めておくと安心です。
こんな症状があれば要注意!嚥下機能低下のサイン
以下のサインが出ていれば、嚥下機能が低下している可能性があります。早めに医師や歯科医に相談しましょう。
- 食事中によくむせる
- 薬や錠剤が飲み込みにくい
- 食べるのが遅くなった
- 食後に声がかすれる・ゴロゴロする
- 食欲がなく、体重が減ってきた
体重減少や食欲低下が続く場合は、低栄養やサルコペニアにも注意が必要です。→ 高齢者がたんぱく質を賢く摂る5つのポイントもあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 入れ歯の人でも口腔ケアは必要ですか?
A. はい、必要です。入れ歯自体にも細菌がつきます。毎日外して専用ブラシで洗浄し、夜は水か洗浄液に浸けておきましょう。歯ぐきや粘膜のケアも忘れずに。
Q. 電動歯ブラシは高齢者でも安全ですか?
A. はい、適切に使えば安全です。強い力で押し当てず、軽く当てるだけで大丈夫です。はじめは歯科衛生士に正しい使い方を教えてもらうと安心です。
Q. 家でむせているかどうか確認できますか?
A. 食後に声がかすれたり、ゴロゴロした声になる場合は誤嚥のサインです。気になる場合は、かかりつけ医や言語聴覚士に嚥下機能の評価を依頼しましょう。
Q. あいうべ体操はどのくらいで効果が出ますか?
A. 毎日継続することが大切です。個人差はありますが、1〜2か月続けると口まわりの筋力アップを実感できる方が多いです。
まとめ:口腔ケアで「食べる力」を守ろう
誤嚥性肺炎は、日々の口腔ケアで十分に予防できます。今日からできることをまとめます。
| ケア内容 | タイミング・頻度 |
|---|---|
| 歯磨き | 毎食後・就寝前(1日3〜4回) |
| 舌ブラシ | 起床直後(1日1回) |
| あいうべ体操 | 1日30回(朝・昼・晩10回ずつ) |
| 電動歯ブラシ | 毎食後に活用 |
| 歯科定期受診 | 3〜6か月ごと |
「むせる・飲み込みにくい」を「年齢のせい」と放置しないでください。口腔ケアを習慣にすることで、健康寿命を延ばすことができます。
転倒予防の運動習慣も体力維持に役立ちます。→ 高齢者が自宅でできる転倒予防運動5選もあわせてどうぞ。
参考文献
- 厚生労働省研究班「口腔ケアと誤嚥性肺炎予防に関する研究」
- 日本訪問歯科協会「肺炎予防と口腔ケア」(https://www.houmonshika.org/oralcaremanual/m15/)
- 国立長寿医療研究センター「高齢者の口腔機能低下と誤嚥性肺炎」

