冬の“水分控えめ”が招くフレイルリスク― 冬も「こまめな水分補給」が、介護予防の鍵になる ―

食事

「寒いからあまり水を飲まない」「喉が渇かないから大丈夫」――そんな声を冬によく耳にします。

しかし、高齢者にとってこの“水分控えめ”が、フレイル・転倒・認知機能低下のリスクを高めることが近年の研究で明らかになっています。

気づかないうちに進む“隠れ脱水”は、筋肉・血流・脳の働きに影響を及ぼします。

今日の介護予防では、「冬こそ水分補給が大切な理由」と、その実践法を科学的に見ていきましょう。


冬の脱水が起こるメカニズム

  1. 喉の渇きを感じにくい
     → 加齢によって口腔・視床下部の“渇き感”が鈍くなる。
  2. 室内暖房による乾燥
     → 皮膚・呼吸からの水分喪失が増加(自覚しづらい)。
  3. 利尿作用の増加
     → 冬は寒さによる「寒冷利尿」で尿量が増えやすい。
  4. 飲水量の減少
     → 喉が渇かないため意識的に水分を摂らない。

特に高齢者では、体内の水分量が若年者より10〜15%少ないため、わずかな脱水でも機能低下が起きやすいとされています。


研究で明らかになっている「脱水と健康リスク」

内容主な結果出典(オープンアクセス)
高齢者の軽度脱水認知機能(注意力・記憶力)の低下を招くBenton D et al., Nutrients (2011)
水分摂取量の低下フレイル発生リスク上昇
(特に筋力・倦怠感)
Maeda K et al., Nutrients (2020)
慢性的な軽度脱水転倒・ADL低下の危険因子Hooper L et al., Cochrane Database of Systematic Reviews (2021)
冬の高齢者施設における
水分摂取調査
多くが推奨量(1500mL/日)未満Suhr MJ et al., Frontiers in Nutrition (2022)

つまり、「冬は汗をかかないから水分はいらない」ではなく、
気づかないうちに失われている」という理解が大切です。

とにかく水分を摂ればいいってこと?

水分補給の“量”と“質”をめぐる誤解

  • 「一度にたくさん飲めばいい」 → ❌
     体は一度に吸収できる水分量が限られており、こまめにが重要。
  • 「お茶やコーヒーは水分補給になる」 → ⭕場合によっては❌
     カフェイン飲料も水分補給になるが、利尿作用を考慮して過剰摂取は避ける
  • 「水分をとりすぎるとむくむ」 → ❌
     むくみは塩分・心腎機能の影響によるもので、
     適切な水分補給は逆に循環を改善する
  • 「経口補水液を常用すれば安心」 → ⚠️
     発熱・下痢・嘔吐時などには有効だが、日常的には水・麦茶・スープが最適。

「水分を取る=良い」というような単純ではなく、「いつどんな状態で、どのように取る」が科学的介護予防のポイントです。


今日からできる「冬の水分補給習慣」

☀️ 朝

  • 起床後にコップ1杯の常温水(夜間の脱水リセット)
  • 朝食時の味噌汁・スープも有効

🕛 昼

  • 食事ごとにコップ1杯ずつ
  • 外出時は水筒を携帯

🌙 夜

  • 風呂前後にコップ半分~1杯
  • 寝る前の少量補給(誤嚥防止のため“すこしずつ”)

トータル目安:1日1.2~1.5L(食事由来を除く飲水分)
※心・腎疾患で水分制限がある場合は医師の指示に従ってください。


🧩 5. 地域・家庭でできる工夫

  • デイサービス・サロンで「1時間に一口チャレンジ」
  • 自治体で「冬の水分補給週間」など啓発キャンペーン
  • 家族で“お茶タイム”を水分補給のきっかけに

今日のまとめ

  • 冬でも体は”静かに脱水”している。
  • 軽度の水分不足が筋力・認知機能を下げる。
  • こまめに飲む」がフレイル予防の第一歩。

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