「尿もれ」は介護への入り口?転倒・フレイルを防ぐための3つの”尿もれ予防”習慣

生活習慣病・疾病別対策

「トイレが近くて外出が不安」「間に合わずに少し漏れる」「夜間トイレで転びそう」

 尿もれ(尿失禁)や頻尿は“恥ずかしい症状”として我慢されがちですが、介護予防の観点では見逃せないテーマです。

 近年、尿失禁は転倒リスクの上昇生活範囲の縮小(外出回避→活動量低下)と関連することが示されています*1


結論

高齢者の尿もれ・頻尿は、

 ①行動療法(膀胱トレーニング)

 ②骨盤底筋トレ(PFMT)

 ③生活調整(便秘・薬・飲水の整え)

の組み合わせが第一選択で、薬より先に取り組む価値があります。

 これはガイドラインでも、過活動膀胱(OAB)などに対して行動療法を基本に据える考え方が示されています*2


なぜ尿もれ・頻尿が「介護リスク」になるのか

  • 転倒:尿失禁のある高齢者は、尿失禁がない人より転倒リスクが高いことがメタ解析で示されています(65歳以上のサブ解析で転倒率が約59%増加)*1
  • 活動量低下→フレイル:「トイレが心配」で外出や運動を避けると、筋力・バランスが落ちやすくなります。
  • 夜間トイレ関連転倒:夜間のトイレ移動は、認知機能低下や歩行不安定などと重なりやすいことも報告されています*3

まずはタイプを大まかに整理(自己判断のための目安)

  • 切迫性尿失禁(過活動膀胱に多い):急に強い尿意が来て間に合わない
  • 腹圧性尿失禁:咳・くしゃみ・立ち上がり・荷物で漏れる
  • 混合型:両方ある

※正確な診断は医療者が行いますが、対策の優先順位を決めるうえで役立ちます。


今日からできる「3つの改善策」

① 膀胱トレーニング*4

狙い:尿意に振り回されず、間隔を少しずつ延ばす。

基本的な方法

  1. まず3日だけ「排尿日誌(時間・量・漏れ)」をつける
  2. いまの平均間隔が1時間なら、次は「+10〜15分」を目標にする
  3. 尿意が来たら、深呼吸・姿勢を整える・骨盤底を軽く締めるなどで“やり過ごす”
  4. これを最低6週間続ける(NHSガイドラインでこの期間が示されます)

② 骨盤底筋トレーニング(PFMT)

狙い:尿道の締まりを高め、漏れを減らす。

根拠:PFMTは女性の尿失禁(腹圧性を中心に、他タイプでも)に有効であることがコクランレビュー等で示されています*5

方法(わかりやすい目安)

  • 「尿を止める時に使う筋肉」を意識して、5秒締める→5秒ゆるめる×10回
  • これを1日2セットから開始

※ポイントは「お腹・お尻に力を入れすぎない」。可能なら理学療法士・助産師・看護師など指導者の介入があると精度が上がります。

③ 生活調整(“効き目が大きいのに忘れられがち”)

  • 便秘対策:便秘は尿意切迫を悪化させやすく、膀胱トレの成功率も下げます(ガイド類でも便秘の見直しが挙がっています*6)。
  • 薬の見直し:利尿薬、睡眠薬・抗不安薬などは頻尿・夜間覚醒・転倒リスクに影響し得ます*6。ですが、決して自己中断はせず、処方医・薬剤師に相談してください。
  • 飲み方の工夫:水分をゼロにすると濃い尿で膀胱が刺激され、逆に悪化することがあります。日中は適量、就寝直前の大量摂取を避けるなど“配分”で調整するのが現実的です。

受診の目安

 次がある場合は早めに医療機関へ:

  • 血尿、排尿時痛、発熱(感染症疑い)
  • 急に症状が強くなった/強い残尿感(尿閉の可能性)
  • 神経症状(急な下肢のしびれ・麻痺など)
  • 生活に支障(外出できない、夜間転倒が怖い 等)

※治療の選択肢は行動療法だけでなく、薬物療法や専門的介入ももちろん含まれます。


まとめ

 尿もれ・頻尿は「年齢のせい」で放置するほど、転倒・外出回避・フレイルにつながりやすい問題です。

 今日からは、

  1. 排尿日誌→膀胱トレ(6週間)
  2. 骨盤底筋トレ(毎日)
  3. 便秘・薬・飲水の配分を整える

 この3点セットで、生活機能を守る介護予防に切り替えていきましょう。


■ 引用文献/参考文献

  1. Moon S, et al. The impact of urinary incontinence on falls: a systematic review and meta-analysis. PLOS ONE. 2021.
  2. Zou M, et al. Association between toileting-related falls in older adults… BMJ Open. 2023.
  3. NICE. Urinary incontinence and pelvic organ prolapse in women: management (NG123). 2019.
  4. AUA/SUFU. Guideline on the Diagnosis and Treatment of Idiopathic Overactive Bladder. 2024.
  5. Dumoulin C, et al. Pelvic floor muscle training versus no treatment… Cochrane Database Syst Rev. 2018.
  6. NHS系のガイドライン(6週間の膀胱トレーニング、薬・便秘の見直し等)

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