冬に悪化しやすい「フレイル」と“こころの健康”― 寒い季節こそ、人とつながり、心を動かす ―

心の健康

 冬になると、なんとなく元気が出ない、外に出るのが面倒、気づけば一日中誰とも話していない…。


そんな日が続くと、体だけでなく心のフレイル(精神的虚弱)が進みやすくなります。


心のフレイルは、気分の落ち込みだけでなく、筋力や食欲の低下にも直結し、
「身体・心・社会」の3つの面が同時に弱っていく
のが特徴です。


今回は、季節の変わり目にこそ意識したい「こころの健康」とフレイル予防の関係を、科学的根拠と日常の実践法から見ていきます。

「心のフレイル」とは?

 近年注目されている概念で、抑うつ・不安・孤独感などによって生活機能が低下する状態を指します。

🔎 過去の知見
高齢者の約3人に1人が「孤独」や「社会的つながりの低下」を感じており、これが身体機能の低下やフレイル進行の重要因子であることが分かっています(東京都健康長寿医療センター, 2018)。

🧬 最新情報
2024年のLancet Healthy Longevity誌による日本・欧州共同研究では、孤独感がある高齢者は死亡リスクが約1.4倍、フレイル進行リスクが約1.6倍高いと報告。

 つまり、「誰かと話す」「社会とつながる」こと自体が、“薬”のような効果をもたらすのです。


気分が沈みやすい冬 ― どんなサインに気づけばよいか

 以下のような変化が2週間以上続く場合は、“心のフレイル”のサインかもしれません。

  • 眠れない・朝早く目が覚める
  • 食欲が落ちた・体重が減った
  • 楽しかったことに興味がわかない
  • 人と会うのが億劫になった
  • 体がだるく、動きたくない

 ➡︎ こうした状態は「軽度うつ」や「社会的孤立」の入り口であり、放置すると身体活動の低下にもつながります。


今日からできる“こころのフレイル”予防アクション

カテゴリー簡単な工夫根拠・背景
🗣 人とのつながり週に1回でも「話す」予定を作る(電話・サロン・家族LINEなど)社会的交流はフレイル発症を約30%減らす(Nihon Univ Study, 2023)
🚶 体を動かす朝の光を浴びながら10分散歩日光はセロトニン分泌を促進し、うつ予防に有効(J Geriatr Psychiatry, 2022)
🎶 趣味・活動好きな音楽・手仕事・園芸を再開する楽しみを持つ高齢者は死亡率が半減(Ota et al., 2021)
🍲 栄養温かい汁物・たんぱく質を
中心に
栄養不良は気分低下と免疫低下を招く
🌙 生活リズム起床・就寝・食事の時間を
一定に
体内時計が安定し、気分変動を軽減

その落ち込みは気のせい?

「心の問題は気のせい」ではない

 日本ではまだ、「高齢者の気分の落ち込み=性格」「加齢だから仕方ない」とされがちです。


しかし近年の研究では、軽度の抑うつ状態がフレイルの初期サインである可能性が指摘されています(J Am Geriatr Soc, 2023)。


また、「孤独」は個人の性格ではなく、社会環境(住まい・交通・デジタル格差)にも影響されます。


➡︎ つまり、“心のフレイル”は社会で支えるべき健康課題です。


地域・家族でできる支え合いの工夫

  • 地域の「通いの場」「シニアサロン」に定期参加(1回でもOK)
  • 家族が週に一度電話やオンライン面会
  • 回覧板・地域放送などを通じた声かけ活動
  • ボランティア・趣味サークルを“健康維持”と捉える

  コミュニティ心理学の研究でも、「支援する側」も幸福度が上がることが知られています。
 「助けられる」だけでなく「誰かを助ける」ことも、心のフレイル予防になります。


今日のまとめ

  • 冬は“心のフレイル”が進みやすい季節。
  • 話す・動く・楽しむ」が最高の予防薬。
  • 孤立を防ぐことは、体の健康を守ること。

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次回予告

次回のテーマは、
👉 冬にこそ気をつけたい“口の健康(オーラルフレイル)”
です。
噛む力・飲み込む力・食べる楽しみをどう守るかを、実践的に掘り下げます。

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