「寝返りでグルグルする」「起き上がると天井が回る」「数十秒で落ち着くけど怖い」
このタイプのめまいは、高齢者に多い BPPV(良性発作性頭位めまい症) の可能性があります。
BPPVはつらいですが、原因がはっきりしていて、適切な手技で改善しやすい“治せるめまい”の代表です。
アメリカのめまいに関するガイドラインでも、BPPVを正確に診断し、リポジショニング(浮遊した耳石を元に戻す手技)で症状を改善させることができると説明されています*1。
今回は、転倒や活動性の低下に繋がり得る”めまい”をターゲットに、概要と対策をまとめました。
まず結論
高齢者の回転性めまい(特に寝返り・起き上がりで誘発されるもの)は、
①BPPVの鑑別(危険サインの除外)
②頭位治療(リポジショニング)
③残るふらつきには前庭リハ(バランス訓練)
が基本戦略です。
めまいは転倒リスクを上げやすい*2ので、「放置せず、原因に沿って対処する」こと自体が介護予防になります。
BPPV=良性発作性頭位めまい症って何? なぜ起きる?
BPPVは、耳の奥(内耳)にある“バランスのセンサー”の中で、本来そこにいないはずの粒(耳石)が動いてしまい、頭の向きが変わるたびに「回る」感覚が起こる状態です。
特徴は次の通りです。
- 寝返り・起き上がり・上を向くで誘発
- グルグル回る感じが強い
- 多くは 数十秒〜1分程度で軽くなる
BPPVは成人に多いめまいとしてガイドラインでも扱われており、診断と治療の標準化が推奨されています。
BPPVが介護リスクになる理由
BPPVは発作そのものも怖いですが、介護予防で問題になるのは「ふらつき→転倒」です。
- めまいで急に姿勢が崩れる
- 夜間トイレや起床時に発作が起きやすい
- “また目が回るかも”という不安で動かなくなり、活動量が落ちる
高齢者の「めまい」は将来の転倒・転倒関連イベントと関連しているため、原因を絞って対処すべきでしょう。
今日からできる「めまいを防ぐ」方法(安全優先の順)
① まず“危険サイン”があれば最優先で受診
次がある場合は、BPPVの自己判断より先に医療機関へ。
- ろれつが回らない、片側の麻痺・しびれ、激しい頭痛
- 意識が遠のく、胸痛、強い動悸
- めまいが持続して治まらない(数分〜数時間ずっと強い等)
- 新しい難聴、耳鳴り、耳の強い痛み
BPPVの診療ガイドラインは「正確な鑑別」と「不要な検査・不適切治療の回避」も重視しているため、上記の症状がある方は、そちらの検査を優先しましょう。
② “回る時の動き方”をルール化
- 起き上がり:横向き→一呼吸→座る→一呼吸→立つ
- 夜間トイレ:足元灯/導線の片付け(転倒予防の基本)
- 発作が出たら:安全な場所で座る・目線を固定し深呼吸(パニックを抑える)
③ 治りやすいのは「頭位治療(リポジショニング)」
BPPVは、医療者が行う リポジショニング(例:Epley法など) が有効とされ、ガイドラインでも主な治療法とされています。
※自宅での自己流は、タイプ(どの半規管か)で手技が変わるため、最初は耳鼻咽喉科で診断とセットで指導を受けるのが安全です。
④ “残るふらつき”には前庭リハビリ
リポジショニングでめまいは治っても、特に高齢者ではしばらくふらつきが残る人がいます。
慢性のめまい・ふらつきに対して、運動ベースの前庭リハビリは、症状やバランス、転倒リスクの改善に役立つという系統的レビューがあります*3。
自宅で始めやすい“超ミニ”前庭リハ(1日2分)
- イスに座って、視線を一点に固定
- 頭を左右にゆっくり10回
- 次に上下にゆっくり10回
※気持ち悪さが強ければ中止。安全のため、最初は家族同席が理想です。
まとめ
高齢者の「寝返り、起き上がりで起きるめまい」は、BPPVのように治療で改善しやすい原因が隠れていることがあります。
介護予防のポイントは以下の3つ。
- 危険サインを除外し、原因を絞る(放置しない)
- BPPVなら耳石のリポジショニングで改善を狙う
- 残るふらつきには前庭リハで転倒を減らす
「めまい=年のせい」で終わらせず、転倒を防ぐ“治療できる入口”として捉えるのが、介護予防として良い考え方です。

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