膝の痛みは「安静」より「動かす」が正解!膝痛を防ぐ新常識

生活習慣病・疾病別対策

 「歩くと膝が痛い」「階段がつらい」「正座ができない」

 そういった悩みはありませんでしょうか?

 ご高齢の身体の悩みで多い「膝痛」は、もしかすると「変形性膝関節症(膝OA)」が原因かもしれません。

 膝OAは簡単に言うと、膝関節の軟骨がすり減り、運動や荷重によって痛みを引き起こす疾患です。

 膝が痛いと外出を控え、活動量が落ち、筋力が落ち、さらに膝が痛くなる……という悪循環に入りやすく、介護予防の観点でも放置できません。

 今回はご高齢に多い膝痛に関して、予防・改善策をまとめました。


まず結論

 膝OAの基本戦略は、「教育+運動(筋トレ+有酸素)+必要なら体重管理」です。

 これは国際ガイドラインでも“変形性膝関節症の中核の治療法”として推奨されており、まず最初に取り組むべき柱です*1

 痛みがあっても「安静が正解」とは限らず、安全に動ける形に調整して継続することが、将来の要介護リスクを下げます。


変形性膝関節症が「介護リスク」に直結する理由

 膝OAで問題なのは痛みだけではありません。

 痛み → 外出回避 → 筋力低下 → 歩行不安定 → 転倒・閉じこもりというルートで、生活機能が落ちやすくなります。

 だから膝OAは「整形外科の病気」であると同時に、生活機能の病気でもあります。


科学的に“まず効く”のは「運動」

 国際的な指針では、膝OAに対して以下の3つが推奨されています*1

  • 運動(運動プログラム)
  • 教育(セルフマネジメント)
  • 体重管理(必要な人)

 ACR/Arthritis FoundationガイドラインやNICE(英国国立医療技術評価機構)、そして日本の診療ガイドラインでも同様に上記の3つが推奨されています。


今日からできる「膝OAに対する基本メニュー」

 ここでは“自宅で始めやすい順”に、膝に負担が少ないものを紹介します(痛みが強い場合は回数を半分から始めてください)。

1.まずは筋トレ:膝を守る“基礎筋”をつける(週2〜3回)

 様々なガイドラインが強く推奨する「運動」の中身は、基本的に 下肢筋力+全身持久力です。

 以下は運動の具体例です。

  • 椅子立ち上がり(Sit-to-Stand):5回×2セット
    • 腕は使ってOK(安全優先)
    • 目標は“ゆっくり丁寧に”
    • 痛みが強い場合は、椅子の高さを高くすると負荷を減らすことができます
  • 膝伸ばし(座って片脚ずつ伸ばす):左右10回
    • 太もも前(大腿四頭筋)を狙う
    • 目標は”最後までしっかり伸ばす”
  • お尻の筋(立って脚を後ろに引く):左右10回
    • 股関節が安定すると膝の負担が減る
    • 寝転んで「お尻上げ」でもOK
    • 腰が反らないように注意(腰痛の原因になります)

目安:痛みが「翌日まで強く残る」ならやりすぎ。回数を減らし、頻度で稼ぐのがコツ。

2.有酸素運動:膝にやさしい“息が弾む運動”(週3〜5回)

  • 平地のウォーキング、エアロバイク、水中歩行など
    • ウォーキングの推奨は、1日合計40分、6000歩が目標
    • ”歩くのが辛い”場合は、エアロバイク、水中歩行がおすすめ
  • 「会話は短文なら可能」くらいのしんどさが目安
    • 運動はガイドライン上の中核治療法として一貫して推奨されています。
  • 「階段」や「急な坂道」は、膝にとって大きな負担になりやすいため、無理せずなるべく避けるのがおすすめです。

3.教育・セルフマネジメント:2週間モニタリング+ペーシング

 膝OAに関する教育は痛み・機能を改善し、とくに運動療法と組み合わせると効果が大きいことが示されています*2

 【「痛み×活動量」2週間モニタリング+ペーシング教育】

目的:恐怖回避を減らし、継続できる活動設計にする(教育の中心テーマ)

毎日:①痛み(0〜10)  ②歩数 or 活動時間  ③“やりすぎた日”の有無をメモ

ルール:痛みが増える日は「休む」ではなく “量を2〜3割だけ下げて継続”(ペーシング)

2週間後:記録を見て「悪化パターン(例:階段+長時間歩行)」を特定し、回避ではなく“調整案”を作る

4.体重管理

 過体重・肥満がある膝OAでは、減量が痛み・機能・QOLに有利であるため、多くのガイドラインで推奨されています。

 「まずは5%減→可能なら10%減」を6か月で狙う設計】

目標:体重80kgなら「まず76kg(-5%)」、次に「72kg(-10%)」

食事:主食を“毎食ひと口分だけ”減らす+間食を週3回まで

運動:下肢筋トレ週2~3回+20〜30分の有酸素(速歩、エアロバイクなど)

体重測定:同じ条件で体重測定(増減を“評価”して微調整)


補助具と薬は「運動を続けるための道具」

 膝OAの治療は「我慢」ではなく「継続できる環境づくり」です。

  • :痛い側と反対の手で持つと膝の負担が減りやすいです。痛い場合は無理せず活用しましょう。
  • 膝装具(ニーブレース):膝OAで使用が推奨されています。
  • 外用NSAIDs(鎮痛塗り薬):膝OAで推奨される選択肢(全身副作用が少ないことが多い)。

※薬は持病や併用薬で変わるため、自己判断で使用せず、医師・薬剤師へ必ず相談


受診の目安(“運動していい膝”か確認)

次の場合は早めに整形外科・かかりつけへ:

  • 腫れが強い/熱感がある
  • 急に痛みが増えた(外傷・感染などの除外が必要)
  • 夜間痛が強い
  • 膝がガクッと抜ける(膝折れ)、ロッキングする
  • 数週間セルフケアしても悪化が続く

診断と重症度の評価、運動の調整、必要に応じてリハビリを行うことができます。


まとめ

 膝OA(変形性膝関節症)の介護予防は、何より続けられる工夫が最重要です。

  • 治療の中心は 教育+運動(筋トレ+有酸素)+必要なら体重管理
  • 杖・装具・外用薬は「運動を続けるための道具」として使う
  • 痛みがあるほど(受診した上で)完全安静ではなく「安全な範囲で動ける形」に調整する

 膝を守ることは、外出・社会参加・転倒予防を守ること。

 今日から“小さく・長く”始めていきましょう。

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