「フレイル(frailty)」は、加齢に伴って心身の活力(筋力・気力・社会的つながりなど)が低下した状態を指します。健康と要介護の「中間」にあたる段階で、放っておくと要介護状態に進むリスクが高いですが、適切な対策をすれば回復(改善)できるのが大きな特徴です。
フレイルは“老い”ではなく、“回復できるサイン”
年をとると誰でも筋力や体力が落ちますが、
フレイルは「ただの老化」ではなく、生活習慣を整えれば改善できる状態です。
たとえば次のようなサインはありませんか?
- 6か月で2〜3kg体重が減った
- 外出が減った、出かけるのが面倒になった
- 以前より疲れやすい
- よくつまずく、歩くのが遅くなった
1つでも当てはまるなら、「フレイル」もしくは「プレ・フレイル(予備群)」の可能性があります。
早めに気づけば、健康な状態に戻せます。
詳しいフレイルの評価基準はこちら→https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/shindan.html
日本ではどのくらいの人がフレイル?
全国調査によると、65歳以上の約10人に1人がフレイル。
さらに、その手前の「プレ・フレイル」は約4割にのぼります。
年齢が上がるとその割合は高くなり、
- 70代前半で3〜5%
- 80代前半で約20%
- 85歳以上では3人に1人
と報告されています。
つまり、多くの人が「フレイルになる可能性」を持ちながら日々を過ごしているのです。
なぜフレイルになるの?
原因はひとつではありません。
次のような要素が重なり合って起こります。
- 筋肉の減少(サルコペニア):動く量が減り、筋力が落ちる
- 低栄養:食事量が減り、特にたんぱく質が不足
- 気力の低下:うつや不安、認知機能の衰え
- 社会的な孤立:人と会う機会が減る
こうした変化は互いに悪循環を作り、気づかないうちに体力も心も弱っていきます。
予防と改善のカギは「3つの柱」
フレイルを防ぐ、あるいは改善するには次の3つが基本です。
① 栄養:たんぱく質を意識
肉・魚・卵・大豆などをしっかりと摂りましょう。
「朝に卵」「昼に魚」「夜に豆腐」など、毎食でたんぱく質を摂るのが理想です。
② 運動:下半身を鍛える
例えば1日15〜30分のウォーキング、または軽いスクワットやかかと上げを行いましょう。
続けることで転倒予防にもつながります。
③ 社会参加:人とつながる
家に閉じこもらず、地域活動や趣味の集まりに参加しましょう。
「人と話す」「笑う」こと自体が脳と体を元気にします。
まとめ:フレイルは「老化のサイン」ではなく「チャンス」
フレイルは、“衰えのサイン”ではなく、“立て直せるチャンス”です。
大切なのは、「気づく」「動く」「つながる」こと。
今日からでも、
- 近くの公園を少し歩いてみる
- 夕飯に卵を1つ足してみる
- 友人に電話してみる
そんな小さな行動が、未来の健康を守る第一歩になります。
おすすめサイト
・健康長寿ネット:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/shindan.html
・東京都健康長寿医療センター研究所:https://www.tmghig.jp/research/release/2020/0903.html
・厚生労働省:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/hale/h-01-002
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