「転ばないように気をつけてね」とよく言われますが、実は“気をつけるだけ”では転倒は防げません。
バランス能力(=体を支え、立ち直る力)は、年齢とともに自然に低下していく機能のひとつです。
でも、正しく鍛えれば何歳からでも改善できます。
今日は、バランス能力を保ち「転ばない体」をつくるための3つのコツを紹介します。
バランス能力が低下する理由
人が立っていられるのは、「目」「耳(前庭)」「足裏」の3つの感覚が脳に情報を送り、体を自動的に調整しているからです。
しかし加齢とともにこの仕組みが衰え、次のような変化が起こります。
- 視力・深部感覚が低下し、姿勢のズレに気づきにくくなる
- 足裏の筋肉や感覚が鈍くなり、地面をとらえにくくなる
- 下肢筋力が落ち、重心を支えられなくなる
つまり、バランス能力の低下は「感覚・筋力・反応力」すべての問題です。
この3つを意識して刺激することが、転倒予防の鍵になります。
バランスを守る3つのコツ
🦶 コツ①:足裏を“目覚めさせる”
足裏は「第2の目」とも言われるほど、バランス感覚にとって重要な役割を担います。
まずはこの感覚を取り戻すことが第一歩です。
おすすめエクササイズ
- 床にタオルを敷いて、足の指でたぐり寄せる「タオルギャザー」
- 丸めたタオルやボールを素足でコロコロ転がす
これを1日2〜3分、朝晩に行うだけで足裏の感覚がよみがえります。
💪 コツ②:体幹を安定させる
バランスの中心は「お腹と背中の筋肉」です。
体幹が弱いと、姿勢が崩れた瞬間に立ち直れません。
おすすめエクササイズ
- 椅子に座って、両膝の間にクッションをはさむ
- 息を吐きながら軽く押しつぶす(5秒×5回)
腰や膝に負担をかけず、イスのまま安全に体幹を刺激できる方法です。
👁 コツ③:目と耳を“使う”
視覚と前庭(耳の奥の平衡感覚)は、立ち直り反応に直結します。
おすすめトレーニング
- 椅子に座って、頭をゆっくり左右に動かしながら壁の時計などを見続ける
- 立ったまま片足を少し浮かせ、視線を一点に集中させる
このような「目と頭を同時に動かす」動きは、めまい・ふらつきの予防にも役立ちます。
バランス能力は「使えば戻る」
バランス感覚は、筋肉よりも「神経の反応力」がカギです。
つまり、刺激を与え続ける限り、何歳でも改善可能といえます。
日本理学療法学会誌(2021)などの複数の研究では、「高齢者の片脚立ち訓練がバランス指標を改善した」と報告しています。
「使う→反応が良くなる→さらに動ける」──この循環をつくることが、介護予防の本質です。
今日からできる実践ステップ
- 歯みがき中に片足立ち5秒×左右3セット
- テレビを見ながらタオルギャザー1分
- 朝の着替え前に姿勢を正して深呼吸3回
この“小さな積み重ね”が、転倒リスクを減らす大きな力になります。
まとめ
転倒予防は「バランス感覚の貯金」です。
バランスを保つ3つのコツ──
①足裏を鍛える ②体幹を支える ③目と耳を使う
を意識して、毎日の動きを“介護予防トレーニング”に変えていきましょう。
次回予告
次回は、「栄養」と「フレイル」の関係──“やせすぎ”が介護を招く?をテーマに、食事からできるフレイル予防のポイントを紹介します。


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