「ただの風邪だと思ったら、いつもより熱が出る」「ちょっと動くだけで、すぐ息が切れる」
もしかしてそれは、ただの風邪じゃなく、インフルエンザや肺炎が重症化した状態かもしれません。
「風邪の延長」と思われがちな呼吸器感染症ですが、ご高齢では一度の肺炎・インフルエンザが体力の急激な低下を引き起こし、入院や寝たきり、フレイル(虚弱状態)につながることがあります。
だからこそ介護予防の観点では、運動や栄養と同じレベルで感染症を重症化させない仕組みが重要です。
まず結論
介護予防として最も費用対効果が高い対策の一つは、呼吸器感染症(インフル・肺炎球菌など)の重症化をワクチンで減らすことです。
具体的には、
①インフルエンザワクチンは毎年
②肺炎球菌ワクチンは年齢・持病に応じて
③RSウイルス感染症やCOVID-19等の推奨ワクチンは主治医と相談
この考え方が実用的な第一歩です。
米国CDCの成人予防接種スケジュールでも、年齢に応じた推奨が明示されており、一度ご参照ください→*1。
なぜ「呼吸器感染症」が介護リスクを上げるのか
ご高齢の感染症は感染症そのものだけでなく、感染後の“活動量低下”が長引きやすいのが厄介です。
- 食欲低下 → 低栄養
- 寝込み → 筋力低下、運動不足
- 外出回避 → 社会参加低下
この連鎖が起きると、元の生活に戻るのが難しくなります。
したがって「かからない努力」も必要ですが、現実的には重症化しない仕組みが重要になります。
ワクチンは「重症化・入院」を減らす
【インフルエンザワクチン】
インフルワクチンは、感染を100%防ぐというより、重症化や入院を減らすことに価値があります。
アメリカ疾病対策センター(CDC)は、インフルワクチンが入院やICU入室リスクを減らした研究結果などを整理してくれています*2。
【肺炎球菌ワクチン】
肺炎球菌は高齢者肺炎の主要原因の一つで、ワクチンは侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)などの重症病態の予防を目的に推奨されます。
日本でも呼吸器・感染症・ワクチン学会で、65歳以上に対する肺炎球菌ワクチン接種の位置づけ(PPSV23の定期接種、PCV15/20等の考え方)が整理されています*3。
また他の研究によると、ご高齢のインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの併用によって、COVID-19の罹患率や死亡率が減少したと報告しています*4。
「呼吸器ワクチンの考え方」手順
ここが最重要です。迷いやすいのは「何を、いつ、どれを」なので、順番を決めます。
1.接種歴を1枚に集約
お薬手帳と同じ発想で、予防接種歴(自治体通知・母子手帳の写し・接種券控え等)をまとめましょう。
2.「毎年」枠と「一生に数回」枠に分ける
毎年:インフル
一生に数回:肺炎球菌(PPSV23/PCVなど年齢や条件に応じて)、RSウイルスやCOVID-19等(年齢・基礎疾患・地域の推奨で変わるため、成人スケジュールや主治医で確認)
3.“転倒しやすい人・息切れがある人”ほど優先度を上げる
呼吸器感染→体力低下→転倒の連鎖が起きやすいため、生活機能が落ち始めた人ほど効果が大きいです。
4.同日接種・間隔の相談は必ず医療者へ
併用可否や順序はワクチンと体調で変わるため、自己判断で詰め込まず、医師・薬剤師・自治体窓口で確認するのが安全です。
よくある不安へのアドバイス
「副反応が心配」
多くは一過性(一時的なもの)ですが、持病や過去の反応によって相談ポイントが変わります。接種前に「過去の副反応」「内服(特に抗凝固薬など)」「最近の体調」を医師や医療者に伝えると判断がスムーズです。
「どれを打てばいいか分からない」
だからこそ“今回のワクチンの考え方”が効きます。優先度は一般に、インフル(毎年)→肺炎球菌(年齢・既往に応じて)の順で整理しましょう。
まとめ
呼吸器感染症対策は「体力が落ちてから」ではなく、落ちる前に仕組みを作るほど効果が出ます。
- インフルは毎年、重症化・入院を減らす目的で考える
- 肺炎球菌は年齢・接種歴で整理し、推奨に沿って選ぶ
- “呼吸器ワクチンの優先順位”を考えて、主治医とできるだけ早い時期に決める
ワクチンを打つかどうかは個人の判断に任されますが、科学的根拠上では、打つ方が重症化や死亡率が低下することが示されています。
ご自身の体質や医師と十分に相談し、正しい情報をもとに後悔のない判断ができるようにしましょう。

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