舌の筋力低下が引き起こす健康リスクとは?
食べ物を飲み込む際に重要な役割を果たすのは、舌の筋力(舌圧)です。
加齢に伴い、この舌圧が低下すると、むせや誤嚥が増え、食事の時間が長くなったり、食欲減退、口腔内の乾燥感が強まることがあります。
特に高齢者では、舌圧の低下がフレイル(虚弱)や低栄養のリスクを高めることが最新の研究で明らかになり、舌の健康は「オーラルフレイル」の中心的な指標として注目されています。
口腔機能の常識が変わる:舌の筋力の重要性
これまでは口腔機能の低下といえば歯や噛む力に注目が集まっていましたが、近年の研究では舌の筋力低下が食べられる食品の種類減少、誤嚥リスクの増加、食事量の減少や低栄養につながることがわかっています。
さらに、舌のトレーニングは数週間の短期間でも舌圧を改善し、嚥下機能向上に寄与する研究結果もあります。
舌は骨格筋でできた「隠れた筋肉」でもあり、意識的に鍛えることで食べる力と全身の健康を守ることが可能です。
自分の舌筋力は問題ない?セルフチェックのポイント
次の項目に1つでも当てはまる場合は、舌筋力が低下している可能性があります。
- 食べ物が口の中に残りやすい
- 飲み物でむせやすくなった
- 食べる速度が以前より遅くなった
- 会話中に舌がもつれる感じがある
- 舌で頬の内側を押しにくい
これらは嚥下障害や口腔機能の低下のサインであり、早めのケアが重要です。
手軽にできる舌トレとストレッチ
日々の生活に取り入れられる舌筋力強化の簡単な習慣を紹介します。
1回1分以内でできるため継続しやすいものを選びました。
- 舌のばしストレッチ(10秒×2回)
舌を前に突き出して10秒キープすることで舌の筋肉と付け根がほぐれ動きが良くなります。 - 舌先で口の中をぐるっと回す(左右5回ずつ)
上の歯茎、頬の内側、下の歯茎の順に舌先でなぞり、舌と口周りの協調性を高めます。 - 舌で上あごを強く押すトレーニング(5秒×5回)
舌圧トレーニングの基本で、飲み込む力の改善に役立ちます。 - 食事前の舌ストレッチ(3〜5回)
食前に軽く舌を前に伸ばして準備運動を行うことで、特に高齢者のむせ予防や飲み込みやすさの向上が期待できます。
舌筋力強化が全身の健康に与える影響
舌の筋力を高めることで、食事量が増え、栄養状態が改善します。
これにより筋力低下やフレイルの進行を予防することが可能となり、むせや誤嚥のリスク軽減にもつながります。
食事中の負担が減れば活動量の増加も促され、健康寿命の延伸に貢献します。
つまり舌の筋力トレーニングは、「低栄養→筋力低下→フレイル」の悪循環を断ち切るための重要な対策となります。
まとめ
舌の力は見えないけれど、食べる・話す・飲み込む・活力を保つあらゆる機能につながる大切な筋肉です。
今日からできる1分ケアで、“舌の健康”という新しい介護予防の観点を、ぜひ生活に取り入れてみてください。
次回予告
次回は「高齢者の“薬の飲み忘れ・飲み間違い”を防ぐ実践的ヒント」をテーマに、解説していきます。


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