脳を鍛える新常識──“考える力”がフレイルを遠ざける

認知・脳の健康

「最近、もの忘れが増えた気がする」「頭を使う機会が減った」

──そんな変化を感じたら、脳のフレイル(認知的フレイル)が始まっているサインかもしれません。

実は、脳の衰えは体の衰えと密接につながっています。

今日は、“脳を動かすこと”が介護予防につながる理由を、科学的にわかりやすく解説します。


1. 「脳のフレイル」とは?

フレイルというと「体の弱り」を想像しがちですが、最近注目されているのが認知的フレイル(cognitive frailty)です。

これは、認知機能の軽い低下と身体的な虚弱が同時に起きる状態です。

放置すると、認知症や要介護リスクが倍増します。

日本の大規模コホート研究(Shimadaら, 2018)によると、軽度認知障害+体力低下をもつ高齢者は、要介護発生率が約2倍高いと報告されています。


2. 「脳と体」は一本の線でつながっている

歩く、話す、料理をする──どれも脳の働きが欠かせません。

特に「前頭前野(考える・判断する)」と「小脳(バランスをとる)」は密接に連携しており、脳を使わない生活は、筋肉も眠らせてしまうのです。

逆に、頭を使うと体も活性化します。

たとえば、買い物で「何をどこで買うか」を考えながら歩くこと。

これは“最高の脳トレウォーキング”です。


3. 最新研究が示す「脳トレの正体」

「脳トレゲーム」や「計算ドリル」だけが脳トレではありません。

最近の研究では、“考えながら体を動かす”ことが最も効果的だとわかっています。

大阪大学の共同研究(2022年)によると、ウォーキングに「しりとり」や「暗算」を組み合わせたグループは、単なるウォーキング群に比べて、記憶力・注意力が約1.1~1.3倍改善しました。

🧠 頭+💪 体の同時活性化が、最も効率のよい介護予防。


4. 今日からできる“脳活トレーニング3選”

① 二重課題ウォーキング

歩きながら簡単な計算・しりとり・天気予報の暗唱などをしてみましょう。

👉 「3の倍数で拍手」などでもOKです。

脳と体を同時に動かすと、認知回路が強化されます。


② 手指を使う細かい作業

折り紙・編み物・園芸・料理の下ごしらえなどですね。

指先を使う動きは、脳の血流をアップさせると言われています。

特に利き手と反対の手を使うと、脳の新しい回路が生まれます。


③ “語る・聞く”を習慣に

人と話すことは、言語・記憶・感情・判断の複数領域を刺激します。

週1回の雑談や地域活動への参加でも、認知機能の維持効果が報告されています。

💬 ポイント:
「誰かに説明する」ことが、最強の脳トレです。


5. 脳を育てる“生活リズム”

脳の健康を支えるのは、特別なトレーニングだけではありません。

  • 🕗 規則正しい睡眠(夜のスマホ時間を短縮)
  • 🍳 朝食でブドウ糖を補給(脳の唯一のエネルギー源)
  • 🚶‍♀️ 午前中の散歩で日光を浴びる(体内時計を整える)

この3つの習慣が、脳の“基礎体力”を維持します。


まとめ

「脳を鍛える」と聞くと難しく感じますが、実は“日常生活の中で考える・動く・話す”ことが最も効果的です。

脳の健康は、体と同じように鍛えられる。

今日の一歩が、明日の“考える力”を守ります。


次回予告

次回は、「人とつながる力が長寿をつくる」──社会参加がもたらす介護予防効果をテーマに、孤立を防ぎ、つながりを“健康資源”に変える方法を紹介します。

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